呼吸器内科
ごあいさつ
専任医師3人体制で、すべての呼吸器疾患に対し専門的な治療を行っています
当呼吸器内科は、喘息や肺炎などのcommon diseaseから呼吸器救急疾患や肺癌まで、幅広い呼吸器疾患に対応する医療体制を備え、医師6名のスタッフで呼吸器専門診療を行っています。2016年より呼吸器外科とともに呼吸器センターとして組織化され、より集学的なアプローチで呼吸器疾患診療を行っています。
専任医師3人体制で、すべての呼吸器疾患に対し専門的な治療を行っています。外来診療においては、新規患者の診療は2人の呼吸器専門医で行っています。受付けは月曜日から金曜日の午前11時までとなっていますが、緊急を要する場合はこの限りではありません。近隣医療施設からの紹介患者を優先的に受け入れていますが、紹介状のない方についても同様に対応しています。呼吸器症状でお困りの方以外に、レントゲン検診で異常を指摘された方の受診も多く、また、診療とは異なりますが、セカンドオピニオンも受け付けています。
呼吸器内科医が不足している地域医療の現状において、地域医療支援病院おける呼吸器内科医の役割は極めて重要と考えており、今後もスタッフ一丸となって地域の呼吸器疾患診療の充実のために尽力してまいります。
医療機関の認定
日本呼吸器学会認定臨床研修施設
日本アレルギー学会アレルギー専門研修連携施設
日本呼吸器内視鏡学会関連認定施設
診療内容・特色
呼吸器内科は、咳、痰、血痰、呼吸困難、胸痛などの呼吸器症状をきたす肺や気管支の病気を診断、治療する診療科です。代表的な病気としては気管支喘息、肺気腫、肺癌、肺炎、間質性肺炎などがあげられます。
入院診療においては、肺癌や、重症の肺炎、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪や間質性肺炎などの患者が中心となっています。多くは近隣医療施設からの紹介ですが、緊急の入院要請や人工呼吸管理を必要とするような重症患者の紹介にも対応できるような体制をとっています。
当院は、地域がん診療連携拠点病院としてがん診療に重点をおいていますが、当科においても肺癌は呼吸器疾患診療の中で最も大きなウエイトを占めています。当科の肺癌診療では、呼吸器外科、放射線科、病理検査科との緊密な協力体制のもと迅速かつ的確な診断・治療を行うことを基本方針としています。病理診断は主として当科での超音波気管支内視鏡検査(EBUS-GS-TBB/EBUS-TBNA)や局所麻酔下胸腔鏡による生検にて行い、一部の症例は放射線科でのCTガイド下針生検によって行っています。そして、病理・病期診断の後に、毎週開催している呼吸器内科、呼吸器外科、放射線科、病理診断科による肺癌治療検討会(キャンサーボード)において治療方針を決定しています。
外科治療、放射線治療、薬物治療による集学的治療の進歩により肺癌患者の死亡率は年々低下していますが、特に非小細胞肺癌に対する薬物治療に関しては、新薬が次々と開発され目覚しい進歩をとげており、それぞれの患者に最適の治療を正しく選択する個別化治療よって肺癌患者は大きな恩恵を受けられるようになっています。呼吸器内科では分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬による免疫療法、細胞障害性抗癌剤による化学療法を中心とした薬物治療を担当し、外科手術を担当する呼吸器外科と定位放射線治療を含む根治的放射線治療および姑息的放射線治療を担当する放射線科との連携のもと、ガイドラインに基づいた集学的個別化治療を実践しています。また、終末期の緩和ケアを要する患者に対しては、緩和ケアチームとの連携のもと、質の高い緩和ケアを提供しています。
2023年度は、肺炎をはじめとする呼吸器感染症の入院は肺癌に次いで多いものでした。第5類感染症へ移行となった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)中等症・重症のCOVID-19患者数は前年度と同数でした。また、超高齢化社会において医療社会学的な問題となっている高齢者の誤嚥性肺炎は例年肺炎患者の多くを占めていますが、入院初期から栄養サポートチーム(NST)が介入し、地域病院や訪問看護部との連携のもと、早期の転院や退院を目指しています。間質性肺炎などのびまん性肺疾患に対しては、気管支肺胞洗浄や経気管支肺生検(場合によっては呼吸器外科による胸腔鏡下肺生検)を行い、迅速かつ的確な診断のもと、適切な治療を行っています。膿胸や胸膜炎をはじめとする胸膜疾患においては、診断および治療目的で呼吸器外科の協力のもと局所麻酔下胸腔鏡を積極的に行っています。さらに、呼吸器領域の急性期医療にも対応しており、人工呼吸管理下にHCUでの集中治療を必要とするような重症肺炎、ARDS、間質性肺炎急性増悪、COPD急性増悪などの重症呼吸不全患者も積極的に受け入れています。