業務内容
調剤
平成20年2月より電子カルテシステムが稼動開始となり、薬剤部内の調剤支援システムと24時間連動しています。勤務時間内の院外処方箋の発行率がほぼ100%になっており、入院調剤が主体です。注射薬については注射箋と注射ラベルを出力し患者ごとのセット、払出しを行なっています。また、医療安全の面から「1回施用分を1つのトレイ」にセットするように対応した注射払い出しカートを導入しています。
病棟業務及び薬剤管理指導業務
現在、病棟薬剤業務実施加算を取得し、HCU以外すべての病棟に薬剤師を配置しています。主な業務として、入院時の初回面談を実施し、アレルギーや副作用の有無の確認を行います。また、持参薬情報を聴取し、正確な持参薬鑑別を行い、重複投与がないかなど薬剤が適正使用されているかの確認を行っています。そして、薬剤師が病棟に常駐することで、新規薬剤の服薬指導を開始時に実施することが可能となり、患者さんの薬剤に関する不安を取り除き、アドヒアランスの向上につなげています。病棟薬剤師として医師、看護師と協力し患者さんにより良い薬物治療が提供できるように、日々の業務に取り組んでいます。
がん化学療法に対する取組み
当院は地域がん診療拠点病院として認定されており、薬剤部もがん化学療法に対して様々な取り組みを積極的に行っています。平成18年12月より、薬剤師2名で注射抗がん薬の外来化学療法施行時における薬剤のミキシングを開始し、段階的に業務を拡張してきました。さらに、病院の増改築工事を機に設けられた外来化学療法室と隣接して、化学療法施行時に使用する薬剤のミキシングに特化した製剤室、いわゆるサテライトファーマシーを設置しています。サテライトファーマシーは安全キャビネットや電子カルテシステムの端末を備えており、化学療法室の看護師との迅速な薬品の授受と処方変更や中止に対する迅速な対応を可能としています。さらに、必要に応じてベッドサイドに赴いて薬物治療に関する説明を患者さんにリアルタイムで行うことなどが可能となりました。
現在では、外来・入院ともに注射抗がん薬による化学療法施行についてはすべて薬剤師がミキシングを行っており、1日当たり約30件の抗がん剤のミキシングを行っています(令和6年9月時データ)。ミキシング業務に加え、院内で使用される化学療法レジメンに関する医師からの相談(前投薬・輸液の選択、投与時間の設定など)にも対応しています。また、電子カルテ内のレジメン機能を用いて、癌種別もしくは科別に登録・管理しています。また、医師が治療説明を行う際に使用する文書を作成し、電子カルテ端末から利用できるようにしています。さらに、がん化学療法委員会においても幹事を担当するなど積極的にがん化学療法に関与しています。
製剤
調剤室と同じフロアに設置された製剤室では、院内の各部署が使用する消毒薬等の払出しを行っており、感染対策上有用である、各部署の消毒薬の使用状況を毎週把握しています。また製剤室内に設置されているクリーンベンチでは、無菌的な操作が要求される、いわゆる特殊製剤を必要に応じて調製しています。
各種委員会(チーム)・教室への参加
主たるものとしてがん化学療法、緩和ケア、感染防止対策およびNST委員会に参加しており、このうちがん化学療法と緩和ケア委員会については幹事を務め、委員会の円滑な運営に努めています。また、緩和ケアチーム、感染制御チーム(ICT:Infection Control Team)および栄養サポートチーム(NST:Nutrition Support Team)のメンバーとして医師や看護師と共に定期的なラウンドを行ない、薬物治療に関する提言を積極的に行なっています。さらに、糖尿病教室、リウマチ教室、膠原病教室および腎臓病教室に参加し、薬物治療に関する講義を患者さんに行なっています。
治験
治験施設支援機関との協働により、GCP(Good Clinical Practice)に基づいたプロトコールを円滑に導入・実施し、治験薬の適正な管理等を行なっています。治験管理室は、薬剤部に隣接しております。
在庫管理
医薬品情報(DI:Drug Information)
薬事委員会の採用審議結果を通知する薬剤ニュースを年3回、薬品の安全性情報や使用上の注意等を周知するDIニュースを年12回作成し、医師と各部署に配布しています。内容は医薬品に関する各種トピックス、添付文書改訂に加え、薬剤部員が日常業務の中で調査してまとめた薬剤に関する情報等についても同誌に掲載して院内全体への情報発信を行っています。
医療安全
手術または内視鏡検査が決定した全ての外来患者さんについて、お薬手帳や薬情などの情報をもとに「抗血栓薬」の有無を調査し主治医へ報告しています。また、「抗血栓薬の休薬の目安」表を作成し院内情報提供を行うなど、医療安全に取り組んでいます。
薬剤部会
薬剤部では、月に一度、部薬剤部会を開催しております。部会を通して、部員がルーチンとして行っている業務、現在取り組んでいる業務および各病棟の薬剤管理指導状況等の報告・確認を行っております。さらに、学会発表および各種研修会等における講義がある場合、部会にてプレ発表を行い部員からの意見をもらうことで、より良い発表へと繋げております。
救護班
日本赤十字社の人道的任務として、災害救護活動があります。大分赤十字病院においても救護班があり、薬剤師も救護班の一員として活動しています。