令和3年4月より大分赤十字病院の院長を拝命しました福澤です。
研修医、大学での研究生活、肝臓移植での米国留学を終えたのち平成4年に当院に赴任し医師としてのキャリアの8割以上を大分日赤と共に歩んできました。赴任当時には行われていなかった、膵臓・胆道・肝臓の癌に対する手術をライフワークに大分県第一位、九州でも上位の手術数にすることが出来ました。沢山の患者さんをご紹介頂きました近隣の先生方にはこの場を借りてお礼申し上げます。高侵襲手術が当然であったこの分野にも腹腔鏡手術を積極的に取り入れ、施設基準の厳しい腹腔鏡下膵頭十二指腸切除をはじめ多くの手術に鏡視下手術を導入してきました。また高度技能専門医の育成も行い現在臨床レベルの高いスタッフが充実し、私の肝胆膵外科医としての役割は次の世代に伝心伝承できたのかなと思っています。これからは、時代の流れを注視しながら赤十字病院として、また地域の急性期医療を担う中核病院としての使命を果たしつつ当院を如何に発展させていくかが私の責務と考えております。
大分赤十字病院は大分市の中心部に位置する340床の公的病院です。がん診療(地域がん診療連携拠点病院)や生活習慣病の急性期診療を中心に担っており、新型コロナ肺炎の4年間は中等症以上の患者さんの治療を行ってきました。大規模な自然災害発生時には赤十字はエリア単位で災害救護を担うべく迅速に救護班を派遣していますが、今年発生した能登半島地震にも九州ブロックとして救護班、コーディネーター、心のケア班等を派遣してきました。今後も必要とされる支援活動があれば協力させて頂くと共に、被災された方々の日常が一日も早く取り戻せることを祈念しております。
求めていく医療の理想は、患者さんのニーズに沿った最善の医療を安全に患者さんに提供し続ける事です。とても基本的な事ではありますが、副院長時代に医療安全の責任者を担っていましたのでその難しさ、成し遂げるための病院組織のチーム力の大切さを痛感しています。医療は急速に進歩しています。病院もハードソフトの両面で遅れることなく対応、変化し続けないといけません。高齢化、人口減少など急性期病院のあり方は今後も問われ続けますが、これからも急性期医療の必要性は変わりません。当院が時代の変化の中で選ばれ続ける病院であるよう安全で質の高い医療の提供に努めたいと考えています。今年は手術支援ロボットの導入、電子カルテの更新と医療DXの推進、働きやすい労働環境を整えた医師働き方改革などを進めていき、患者様はもちろん職員の満足度の向上にも力を入れていきたいと考えております。
これからも大分赤十字病院をよろしくお願い致します。