令和3年4月より大分赤十字病院の院長を拝命しております福澤です。早いもので医師となって40年が経過しました。
院長になっての数年は新型コロナの対応で病院の感染症対応の脆弱性に悩む日々でしたが、その試練は現在の感染症対策の底上げに大きく貢献することとなり、今では様々な感染症に対し病院としての抵抗力は強化されたと実感しておりこれまでの職員の努力に敬意を表します。
昨年度は診療報酬の改定もありましたが、物価の高騰や人件費の増加などを補えるものではなく多くの急性期病院は経営状況が厳しい状態です。当院も同じですが、電子カルテや放射線治療装置(リニアック)の更新、手術支援ロボット(ダビンチXi)の導入など基幹病院としての機能を維持するためには設備投資も必要であり、患者様や職員の満足度向上にも繋がると信じています。
また働き方改革の推進でも様々な取り組みをしてきております。特筆すべきものとしては電子カルテの入れ替えを行った際に業務用スマートホンと電カルを連携させたことです。これにより院外であっても患者さんの検査データや医師、看護記録、検温表など確認できるようになり休日や夜間などの時間外対応が極めて楽になったと感じています。今年度は昨年導入したRPA(Robotic Process Automation)をさらに活用させていければ事務系やコメディカルの負担軽減に役立つものと考えています。医療DXの進歩は目覚ましいものがありますが、時代の波に乗りながら今後も働きやすい職場環境を築いて参ります。
外科系においては手術支援ロボットを用いた手術が開始されました。当院赴任前の施設で既に経験を積んだ医師が複数いたため、手術室スタッフの教育を含めてスムーズな導入ができており、今後の外科手術の主軸となっていくものと考えています。現在前立腺がん、肺がん、肝胆膵がんの手術に対し開始していますが、今後は消化管(直腸がん、胃がん)に対しても広げていく予定です。
最後になりますが、昨年当院の東館建て替え(6年後に竣工予定)が決定されました。今後の地域医療構想における当院の在り方を見据えた上での計画が重要であり、大分市中心部の中核病院として地域の皆様により良い医療が提供できる病院となるよう医療設備と快適な環境を整えた建築計画を練り込んでいきたいと考えております。
これからも大分赤十字病院をよろしくお願い致します。