診療実績・業績
診療実績
昨年1年間手術場での手術症例数は715例でした。月~金まで毎日手術を行っています。悪性腫瘍の手術症例は298例で全手術症例の約40%に当たります。特に肝胆膵領域の癌や高難度手術の割合が多く、地域癌診療連携拠点病院としての役割を果たしていると思われます。
また手術だけでなく、化学療法や放射線療法を含む集学的治療を行っています。コロナによって診療制限がある状況下でも、化学療法の実施数はR2年度が2403件であったのに対しR3年度が2531件、R4年度は2848件、R5年度は2591件と増加傾向にあると思われます(内服のみの化学療法は含まず)。
手術の内訳ですが消化管手術は175例で、主要な内訳は食道癌6例、胃癌36例、大腸癌76例でした。高度進行癌症例や高度癒着症例以外は鏡視下手術で対応し、昨年は消化管の癌の手術の60%が鏡視下手術でした。
肝胆膵科の充実は当科の特色ですが昨年も285例の手術を行い、そのうち膵切除66例、肝切除39例とHigh volume centerとして高難度手術取り組んでいます。肝胆膵外科高度技能専門医修練施設してはA認定(高難度手術数が年間50例以上あることが施設基準で当院は昨年92例施行しています。)を受けています。
膵切除症例の内訳は膵頭十二指腸切除(PD)42例(腹腔鏡下PD8例)、膵体尾部切除19例(腹腔鏡下DP6例)でした。特に膵頭十二指腸切除術はハイボリューム施設基準(年間20例以上)を19年連続でクリアし、全国の赤十字病院(91病院)の中でも常にトップクラスの症例数です。肝切除症例はほとんど輸血なく施行しています。系統的肝切除、鏡視下手術を基本としていますが進行例には血行再建術も積極的に行っています。
膵癌に関しては血管合併切除や腹腔動脈幹合併切除による拡大手術も積極的に行っています。局所進行膵癌で切除困難症例に対しては術前化学療法を積極的に導入し膵癌切除率の向上に努めています。また低悪性度腫瘍に対しては膵頭十二指腸切除にも鏡視下手術を施行しています。
膵癌においては集学的治療行う際に遺伝子検査も重要となり、西別府病院の遺伝子カウンセリングと連携させていただき、患者家族の不安に対応できる体制を整えています。
現在各疾患分野に外科治療のスペシャリストを擁しており、今後とも皆様の期待に添えるよう質の高い外科医療を実践していきたいと思っています。
業績集
年間発表論文
Survival impact of pancreatic resection for metastases in the pancreas: A retrospective multi-center study
(Surg Oncol. 2023 Jun:48:101942.)
Shotaro Kinoshita, Yo-Ichi Yamashita, Yuki Kitano, Hiromitsu Hayash, Keishi Sugimachi, Takashi Nishizaki, Kengo Fukuzawa, Kiyoshi Kajiyama, Nobutomo Miyanari, Tomoharu Yoshizumi, Hiroshi Takamori, Hideo Baba
Pancreatic mixed acinar-neuroendocrine carcinoma with intraductal growth: A case report with radiologic-pathologic correlations
(Radiol Case Rep. 2023 Oct 9;18(12):4422-4430.)
Hiroshi Baba, Yasunari Yamada, Kazuhiro Tada, Yusuke Kuboyama, Kengo Fukuzawa, Kentaro Iwaki, Mitsuteru Motomura, Ryo Takaji, Ryuichi Shimada, Hajime Takaki, Yoshiki Asayama
Effect of duration of adjuvant chemotherapy with S-1 (6 versus 12 months) for resected pancreatic cancer: the multicenter clinical randomized phase II postoperative adjuvant chemotherapy S-1 (PACS-1) trial
(Int J Clin Oncol. 2023 Nov;28(11):1520-1529.)
Hiroto Kayashima, Shinji Itoh, Mototsugu Shimokawa, Hiromitsu Hayashi, Hiroshi Takamori, Kengo Fukuzawa, Mizuki Ninomiya, Kenichiro Araki, Yo-Ichi Yamashita, Keishi Sugimachi, Hideaki Uchiyama, Yuji Morine, Tohru Utsunomiya, Tadashi Uwagawa, Takashi Maeda, Hideo Baba, Tomoharu Yoshizumi
年間学会発表
- 大分県外科医会 第249回例会(2023年3月11日、大分)
①一般演題
腹腔鏡下胃局所切除術の手術時間関連因子
大津亘留、多田和裕、三田純也、中村駿、高橋純一、坂田一仁、水内寛、大場太郎、吉住文孝、岩城堅太郎、廣重彰二、梶山潔、福澤謙吾 - 第123回日本外科学会定期学術集会(2023年4月27日、東京)
①ポスター
乳癌症例における術全好中球/リンパ球数の臨床的意義
武内秀也、廣重彰二、岩城堅太郎、吉住文孝、多田和裕、坂田一仁、高橋純一、中村駿、三田純也、梶山潔、福澤謙吾 - 第31回日本乳癌学会学術総会(2023年6月30日、横浜)
①ポスター
予後因子としてのNLRとPLRの比較検討
武内秀也、鈴田理恵、廣重彰二
②ポスター
進行乳癌の透析患者に対し一次治療としてAbemaciclibを投与した一例
廣重彰二、鈴田理恵、武内秀也 - 第78回日本消化器外科学会総会(2023年7月12日/14日、函館)
①一般演題
「80歳以上の膵癌に対する膵頭十二指腸切除術の短期および長期成績」Short and long-term outcomes in elderly patients after pancreatoduodenectomy for pancreatic cancer
多田和裕、中村駿、岩城堅太郎、三田純也、高橋純一、坂田一仁、吉住文孝、廣重彰二、梶山潔、福澤謙吾
②サージカルセミナー(ビデオクリニック)
腹腔鏡下肝S8亜区域切除術 肝門アプローチ
多田和裕 - 第40回日本呼吸器外科学会学術総会(2023年7月13日/14日、新潟)
①ポスター
乳癌術後・放射線治療後の胸壁瘢痕を伴う原発性肺癌症例に対し、季肋部アプローチが有用であった1例
水内寛 - 第54回 日本膵臓学会大会(2023年7月21日/22日、福岡)
①一般演題
IPMNに対する腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術の短期および長期成績
多田和裕、岩城堅太郎、福澤謙吾 - 第56回日本胸部外科学会 九州地方会総会(2023年7月27日/28日、大分)
①一般演題
分葉不全の上中葉間に発生した原発性肺癌の1手術例
松田真和、水内寛 - Gastric Cancer Collabo WEB Seminar(2023年8月28日、大分)
①当院における胃癌患者へのオプジーボ1st line治療について
多田和裕、山添太一朗 - 大分県外科医会 第251回例会(2023年9月6日、大分)
①一般演題
進行肝門部領域胆管癌に対して門脈・動脈再建を伴う肝膵同時切除を行った1例
田中亮太、多田和裕、松田真和、湯川恭平、水内寛、間野洋平、吉住文孝、岩城堅太郎、廣重彰二、武内秀也、福澤謙吾 - 九州体育・スポーツ学会第72回大会(2023年9月9日/10日、大分)
①シンポジウム
学業とスポーツの両立(デュアルキャリア実践)の先にあるものとは何か?
水内寛 - 第59回日本胆道学会学術集会(2023年9月14日/15日、札幌)
①一般演題
進行肝門部領域胆管癌に対して門脈・動脈再建を伴う肝膵同時切除を行った1例
多田和裕、三田純也、岩城堅太郎、福澤謙吾 - 第36回日本内視鏡外科学会総会(2023年12月7日/9日、横浜)
①一般演題
S状結腸重複症に対して腹腔鏡下低位前方切除術を施行した1例
石嶋亮太、多田和裕、岩城堅太郎、松田真和、湯川恭平、水内寛、間野洋平、吉住文孝、廣重彰二、武内秀也、福澤謙吾 - 大分県外科医会 第252回例会(2023年12月23日、大分)
①一般演題
当院で経験した退形成性膵癌の8例
石嶋亮太、多田和裕、松田真和、湯川恭平、水内寛、間野洋平
吉住文孝、岩城堅太郎、廣重彰二、武内秀也、福澤謙吾